オウンドメディアリクルーティング について。基本の全てを6つの要点で解説
オウンドメディアの基本を抑えて採用に活かす。
オウンドメディアという言葉が比較的馴染みのある言葉になりました。上手に採用活動に活用できるようになった、オウンドメディアリクルーティングで採用することができたといった声を聞く中で、まだまだ活用には至っていない、上手に機能していない、ほったらかしてしまっているなどもよく見られます。
より一層難しくなってきている採用を成功させる上でオウンドメディアリクルーティングをどのように運用していけばいいのか。自社に合ったやり方を見つけていただくために、今一度 オウンドメディアリクルーティング に追いてご紹介していきます。
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目 次
オウンドメディアリクルーティングの概要
オウンドメディアとは何か。
オウンドメディアとは自社で保有するメディアの総称のことです。
自社サイトや自社ブログサイト、動画、パンフレットなどを指します。TwitterやInstagramなどのSNSは広義ではオウンドメディアの括りに含めたりしますが一般的にはアーンドメディアと呼ばれ、オウンドメディアではありません。また、Airワークやエンゲージなどもオウンドメディアではありません。
オウンドメディアリクルーティング(オウンドメディア採用)とは
オウンドメディアリクルーティングは、自社の運用するメディアを通じて採用発信などの活動を行うことで、代表的なものでいえば採用サイトや採用動画、採用パンフレットなどが該当します。これらを用いてターゲットとなる候補者との接触機会を広げたり、志望意欲を高めたり、自社サイトにエントリーを促したりといった役割や目的を為す採用活動です。
求人サイトとの比較や異なる点
オウンドメディア
オウンドメディアは前述の通り、自社が運営するサイトを指します。
利点:自社の裁量で自由なレイアウト、コンテンツ、更新等ができる。発信する情報をいくらでも追加でき、作成したコンテンツは資産として残る。
不利点:即効性がない。中長期的に運用が必要など。
求人サイト
求人サイトは各メディアの運営元が運営を行う外部メディアです。
利点:募集職種や求める経験次第では即効性がある。
不利点:期間が限られる。掲載終了後は情報がクローズされるため資産にならない。また、都度イニシャルコストがかかるなど。
このように、オウンドメディアと求人サイトにはそれぞれ長所と短所がありますので、はじめは不足のものを他メディアで補いつつ上手に運用していくことが望ましいです。
なぜオウンドメディアリクルーティングが必要とされているのか
時代の流れとともに、考え方や求めるものへのニーズが変化、多様化するなかでも私たちは柔軟に変化を受け入れて対応していく必要があります。そうした状況を取り巻く現在の採用活動において、オウンドメディアリクルーティングが必要とされる理由をご紹介します。
採用を取り巻く背景
上図をご覧になっていただくとおわかりになる通り、採用が難航している傾向です。
以前(平成28年頃)のように売り手市場になり、求人数は増える一方で、求職者数が減少している様子が伺えます。当然のことですがこの求職者を競合同士で取り合う形になってしまいますし、求人サイトを利用している人や人材紹介会社に登録している人の多くは、顕在的なニーズを抱いて活動しています。
求人サイトや人材紹介を頼っている顕在的な求職者に対してリーチするのは手っ取り早くて簡単なのですが、上記のように食い合いが激しくエントリーを受けることも容易ではありませんので、すぐには転職は考えていない潜在層や、今は全く転職を考えていない休眠層に対する発信を行い、訴求の拡大を図っていくにはオウンドメディアが最適といえます。
情報収集リテラシーの高まり
スマートフォンを主とした情報収集手段も多様化しました。誰でも簡単にリアルタイムで最新の情報をキャッチアップでき、瞬間瞬間で情報の選別を行っています。ネット検索、SNS検索、動画検索などあらゆる方法で収集しながら新しい情報をアップデートしているということは、人々は常に情報のあるところに流れていっていることを指します。採用活動を行う=候補者に自社を知ってもらう必要があるので、発信の重要性は必然的に生じてきます。
多様化したニーズ、新たな価値観
個人と社会の関わり方、働き方、価値観などが多様化していることはすでにご存知のことでしょう。最近はパーパスの再定義などや人的資本経営などの言葉を耳にした方も多いと思います。仕事=稼ぎたいといった時代もありましたが、現在では考え方や求めることもさまざまです。時短で自由に動きたい。賃金よりもやりがいや誇りを感じたい。リモートで通勤時間をゼロにしたいなど、求職者の方は「自分らしく働く」や「自分の価値観」に重きを置いた求職活動をしている傾向にあります。
つまり、情報収集や精査において彼らの価値観やニーズとのリンクを提供していく必要があります。企業のパーパスやカルチャー、価値観などの「自社らしさ」を発信していくことでそこに共感性を生み、動機づけやエンゲージメントの醸成に結びつけていくことが求められているということです。
オウンドメディアリクルーティング を始める前に知っておくこと
必要だ。じゃあ早速始めよう!ということは少しお待ちください。始める前に把握しておくこととしてメリットやデメリットを知っておく必要があります。
アスヨミでもこの部分に触れていますので、併せて確認してみてください。
メリットについて
オウンドメディアリクルーティングには大きなメリットがあります。もちろん運用規模や期間などにより得られるメリットの大きさはそれぞれですが、自社のスケールに合った導入や運用ができるので、やらない手はありません。
・コンテンツに制限を受けない。
前述したように、求人サイトやダイレクトリクルーティングのプラットフォームでは文字数制限、写真点数制限、レイアウト制限を受けるため、思うような発信ができないことが多いですが、オウンドメディアではそういった制限は受けないため、思うがままに情報を掲載することができます。また、募集に関しても職種やポジションなどを幾つでも公開することができるので、ニーズを網羅することができます。
・対象に合わせたコンテンツ
広義で抽象的な情報と、狭義で具体的な情報を使い分けながら、求職者の求める型にフィットした情報を発信することができます。このように切り分けた発信を行うことでエントリーから選考に至るプロセスの中でスクリーニングができ、ミスマッチを防ぐことができます。ミスマッチを防ぐことができれば、入社後の早期離職を低減することにも期待が持てます。
・施策の幅が広がる
オウンドメディアを中心として、SNSやSNS広告、youtubeやTiktokなどの動画プラットフォームや動画広告、求人サイト、WEB広告などをクロスさせながら幅広い潜在層にリーチすることが可能になります。求人活動を行う際の選択肢として上記のような網をかけることで、これまでとは違った候補者に出会えることでしょう。
・コンテンツとして明文化
オウンドメディアを通した発信は外部に向けた発信を目的とする一方で、社内の人間に対する発信でもあります。社内への共通認識や浸透を狙い、社員エンゲージメントの醸成を図っていくことができます。
他にも挙げればまだまだリストアップできますが一旦このくらいに留めておきます。
デメリットについて
メリットがある一方でデメリットも存在しています。デメリットといっても見方次第と言えるかもしれませんので、自社の状況と照合しながら考えていただけるといいと思います。
結果はすぐに出ない。
これはすでに存在するオウンドメディアの有無や運用状況によって変わりますが、新規構築後であればオウンドメディア単独での即効性はありません。継続的な運用を通して徐々に流入経路が広がっていくものなので、短期決着には不向きです。あくまで中長期的な戦略で運用していかなくてはなりません。
ただ、求人サイトなどとのクロスにより、求人サイト上で自社の求人を発見してくれた求職者が企業リサーチをした際、90%の求職者はオウンドメディアへの訪問をします。
そこで充実したコンテンツを提供できることでエントリーへの促しができ、CV率の向上に期待は持てます。
工数が意外とかかる
情報収集リテラシーの高まりのところでもお話したのですが、世の中は常に情報をアップデートしているので、継続的に情報を発信していくことは必須です。かつ、SEOの観点からいい加減なコンテンツやあまり必要でないと判断されるようなコンテンツでは意味をなさないため、優良なコンテンツをアップし続けていくことが求められます。そのようなコンテンツを更新し続けることに対する工数は大きく、社内リソースでは対応できない、内製は難しいなどの課題が生じたりします。
コストがかかる
これは求人サイトに掲載するにしてもイベントに出展するにしてもイニシャルコストやランニングコストはかかりますので、オウンドメディアに限った話ではありません。コストはかかるにしても、その一つ一つが自社のオリジナルであり、他社とは異なる「自社らしさ」の結晶となり役割を果たしていくようになっていきます。
専任者がいないと運用できないケースも多い
運用を行っていく上では運用状況の分析を行ったり、コンテンツの改善や最適化を行う上でのPDCAを回していかなくてはなりません。そのためにマーケティングに関する知識が必要であったり、協力業者と打ち合わせる際にも実りのある打ち合わせにならないことも。さらに、社内に協力を仰ぐ際に先導する人間がいない場合には、思うように更新ができなかったりと、コンテンツに影響を及ぼしかねません。
オウンドメディアリクルーティングを始める前の準備
メリットとデメリットを把握した上で、実際にメディアを立ち上げることになったら、以下のことについて社内で議論を行い、すり合わせを行って行きます。
こちらも参考にしてみてください。
・オウンドメディアリクルーティングの導入前の準備と注意点について
自社の情報について
パーパスやカルチャーについて採用の観点で捉えたときに、抜けや漏れがないかを確認し、解釈の補足、補強を行います。自社色を色濃く発信する上での重要なゾーンなので、ただ単にビジョンやミッションをコピペするのではなく、より具体的に価値観や方向性、魅力が伝えられるように準備をします。
採用情報について
採用対象となる部署、職種、ポジションなどを抽出します。足りないところは現場やその業務に従事している人間にヒアリングを行い、要点を漏れなく確認します。こちらもただ「募集要項が完成しました」ということではなく、入社後の期待行動や期待結果、成長のロードマップ等をまとめておくといいです。
ターゲットペルソナについて
自社で求めている人物像について設計します。自社で求めている人物像とは、入社後に活躍してくれるであろう人物です。年齢、性別、身長や体重、居住地、職歴、転職回数、未婚既婚、性格、趣味や趣向、生活習慣、休日の過ごし方などを綿密に設計します。
こちらでペルソナ設計についてさらに知ることができます。
テーマやコンセプトについて
自社の魅力(惹きつけ)になる情報を洗い出し、整理していきます。その上でオウンドメディアリクルーティングを実施していく上で軸となるキーの設計をし、整理した情報と紐づけていきます。クライアントの事例の中に、採用活動=全社一丸プロジェクトと捉えてコンセプトを設計し、独自の呼称を設定して求職者、社員ともにエンゲージメントの醸成や向上に成功している例があります。
制作を外注する場合には
制作を外注する利点は構築に必要な上記のような抽出、精査、定義づけなどを全面的にサポートしてくれる点です。(依頼先によっては対応しない業者もありますし、コスト感によっても異なります。)自社にとって最適な採用ブランディングの設計を行ってくれたり、公開後の運用を見据えた戦略設計を行ってもらえるなどの利点があります。
アスカラヨロシクの事例では、I T、自動車、家電、設備、飲食、医療福祉、アミューズメント、サービス、不動産、建築、士業など様々な業界、職種の採用支援に携わらせていただいています。
オウンドメディアリクルーティングに有効なコンテンツの例
サイトであっても動画であっても紙であっても、発信媒体は違えど共通して抑えるべき採用コンテンツ例をご紹介します。
経営者メッセージ
トップメッセージを紹介します。ここでは代表の会社づくりにおける魂の言葉を公開したり、候補者に向けた言葉、採用にかける思いなどを記載します。コンテンツ全体の中でも比較的閲覧頻度が高い傾向にあります。
社員インタビュー
充実させた方がいいコンテンツの一つとして社員インタビューがあります。該当職種に従事する先輩社員の声を参考にする求職者は多いため、細やかく掲載できるといいです。また、万が一インタビューに記載している社員が退職したとしても、新しい社員のインタビューを差し替えていけばいいので手軽に増やせるコンテンツです。
事業紹介
自社のビジネスを紹介するページです。コーポレートサイトに詳しく公開している場合にはそちらに遷移させてもいいので、その場合には新たに作成する必要はありません。
福利厚生紹介
自社の福利厚生を網羅的に公開します。見やすく伝わりやすいように写真やアイコンなどを使用しながら紹介したりします。
制度紹介
例えば教育制度や社内で取り組んでいる制度について紹介します。独自の制度文化がある場合には強調的に紹介します。
データ紹介
自社の数字をインフォグラフィックやイラストなどを用いて紹介します。
例えば男女比、年代比、売上推移、シェア率、有給取得日数平均などの情報から、社員の趣味ランキング、昼食アンケートなどの親しみやすい情報などを公開します。
仕事紹介
各募集職種の仕事内容の紹介や、該当職種のキャリアプランや昇格基準などのイメージが伝わるようなコンテンツ、各募集ごとの募集要項を掲載します。
オウンドメディアリクルーティングの運用を始める
オウンドメディアは作って終わりではありません。確かにひと段落はつきますので、オウンドメディアをどのように、どの程度活用していくのかはそれぞれです。ですが、せっかくコストをかけて導入をしたオウンドメディアを自走へつなげていくためには、これから行っていくことを知っておく必要があります。
積極的にアナウンスする
前述の通り、生まれたてのオウンドメディアはほったらかし状態ではなかなか見てもらうところまでつながりません。求人を掲載した際などは応募してくれた求職者にい積極的に見てもらえるようにしていきましょう。
更新を実施する
例えばブログなどを更新して旬な情報を提供することも大切です。説明会やインターンの日程を記載したり、交流会などのイベント開催を告知したりなどを定期的に更新していく必要があることを忘れてはなりません。また、新卒採用の場合には年度の更新をしておらず、2021などのままになっているサイトを見かけたりします。データで見るなどのコンテンツでも、2020年時点などのままだと情報が古く、アップデートされていないことが伺えてしまうので、そうしたメンテナンスも必要です。
分析し把握する
どういった経路でどのようなコンテンツが好まれて閲覧されているのか、どういった人がCVしているのかなど、googleアナリティクスやサーチコンソールなどを利用して紐解いていきましょう。よくある間違いとして、PVだけを確認して今月は多かった、少なかったという見方ではまったく改善に繋がりません。
運用支援を依頼する
オウンドメディアリクルーティングをきちんと形にしていくために、コンテンツの企画や更新、改善点の洗い出しや解析、広告等の利用を外部に依頼することもおすすめです。自社で運用を継続することは大変だ、ネタがない、専門的に見れる人が社内にいないなど、手探りのまま続けていてもクオリティーを担保できなくなってしまっては、結果として候補者に悪い印象を与えてしまうおそれもあるので検討していきましょう。
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