社員の離職率が高いとどんなデメリットが生じるのか。その原因と対策方法とは

求人も大事だけど、まずは内側に目を向ける必要もある。

社員の定着に悩む企業も少なくはありません。

社員が辞める→採用する→新たに辞める→純増しない。
このようにいくら採用コストをかけて採用を行っても人は辞めていく。だから離職数を計算に入れた採用コストを投じて新規採用数を追っている企業もありますが、本当にそれが正解でしょうか。

 

みなさんの会社では社員の定着率や離職率などを把握してますか?それは同業他社と比べて多いですか?少ないですか?離職率は、高いですか?低いですか?
他社と比べて、人の入れ替わりが激しい場合は、一度体制や制度などのあり方を見直さなければなりません。
というのもやはり、社員の離職というのは企業にとって大きなダメージがあるからです。今回は社員離職をテーマにその理由と対策方法のお話をさせていただきます。

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目 次

    離職率が高いとどんなデメリットがあるのか

    ❶ 採用コストが上がる

    従業員1人にかかっているコストは、思っている以上に高いです。
    求人広告の掲載費、採用担当者の人件費、就職フェアなどイベントの出展費、人材紹介会社を利用した場合は、その紹介料が採用コストになります。これらを合計すると、1人あたり、50万円~150万円くらいになりますね。

    社員が1人辞めてしまうと、そのコストがほぼ無駄になりますし、新しい社員を雇用するために、さらに同じくらいのコストをかける必要があります。

     

    ❷企業のイメージが悪くなる

    ブラック企業という言葉が流行っていることもあり、求職者は応募前に、その会社について下調べをします。
    流れとしては、求人を見る⇒会社を調べる⇒口コミサイトで会社の評判を見る⇒応募するといった感じです。
    カイシャの評判、転職会議、OpenWorkなど、会社の口コミサイトが増えており、実際に働いていた社員の生の声が書き込まれているので、その会社の本当の姿が分かってしまうんですね。

    そこで、「残業代が出ない」「休日も電話対応に追われて、休めない」「社長がワンマン経営」など、離職者の悪い口コミばかり並んでいたら、誰も応募したいと思いません。一度そういった悪いイメージがつくと、当然ながら、優秀な社員を採用することも難しいでしょう。
    社員が辞めれば辞めるほど、人材を採用しにくい状況になり、採用ブランディングどころか、人に愛されにくい会社になっていきます。

     

    ❸企業のパフォーマンス力が落ちる

    育てあげた人材が離職してしまうと、また1から新人を育てあげないといけなくなり、その新人が一人前の社員になっても、また離職をしてまえば、また違う新人を1から育てあげないといけない。という負のループが、離職率が高い企業には起こりがちです。
    これでは、いつまでたっても社員のスキル向上ができず、企業としてのパフォーマンス力も落ちます。
    当然、ノウハウも蓄積しにくくなりますし、技術の伝承がしづらく、生産性も悪くなりますよね。

    社員の離職理由とは

    人材採用や求人広告の運用をしているエン・ジャパン株式会社が、8600人に聞いた「退職のきっかけ」調査データを公開しています。(2018年4月)

     

    退職理由として・・・
    1位は「給料が低い」
    2位は「やりがいや達成感がない」
    3位は「企業の将来性を感じない」
    4位は「人間関係」
    5位は「残業時間や休日数」

    という結果になりました。
    他のデータも見てみましょう。

     

    労働政策研究・研修機構(JILPT)、内閣府が、21~33歳の若者に行った『「初めての正社員勤務先」を離職した理由』についてのデータを公開しています。

    【男性】
    1位:労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため
    2位:自分がやりたい仕事は異なる内容だったため
    2位(同ポイント):肉体的、精神的に健康を損ねたため
    3位:人間関係がよくなかったため

    【女性】
    1位:肉体的、精神的に健康を損ねたため
    2位:労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため
    3位:人間関係がよくなかったため

     

    2つのデータ結果を見てみると、給料、労働時間、休日休暇といった『労働環境』が離職原因として大きいようですね。

    離職防止のために取り組むこと

    どうして従業員が退職してしまったのか?これをしっかり把握することが大切です。
    しかし退職理由については、離職した社員の声を鵜呑みにしてはいけません。

     

    その理由は、従業員のほとんどが退職を伝える際に、本当の理由を言わないからです。『ミドルの転職』を利用する転職コンサルタントのアンケート結果によると、『2人に1人の転職者が、企業に本当の退職理由を企業に伝えていない。』というデータ結果が出ています(2019年2月)
    従業員の退職理由を分かっているつもりでも、実はその裏には本当の退職理由が隠れていることがあります。
    では、どのように退職理由を分析すればいいのでしょうか?

     

    それは・・・
    本音の退職理由が自社に当てはまっていないか?を分析することです。
    先ほど上記でお話した社員の離職理由ランキングを参考に、自社が当てはまっていないかを考えていきましょう。

     

    給料体制と休日数の見直し

    この分析はとても簡単です。
    Indeedなど、求人検索サイトを使って、同業他社と自社の条件を比べてみましょう。

    (例) 〇〇県〇〇市 不動産 営業職

    indeedの検索キーワード欄に「営業職(募集職種名)」、勤務地の部分に「〇〇県〇〇市」と入力し、求人条件の相場を見てみましょう。

    ・他社と比べて、あまりにも低い給与になっていませんか?
    ・休日数があまりにも少なくなっていませんか?
    ・残業時間が多すぎる状態にはなっていませんか?

    給与や休日数は気にしません。やりがいが一番大切です。
    と最初に言って入社した社員も、なんでこんな安い給料で働かないといけないのか?どうしてこんなに休みが少ないのか?と働き続けるうちに不満をもつようになります。

     

    評価制度などの見直しを検討

    求人で公開をしているスタート時の給料が良くても、そこから上がっていくことが見込まれない場合、入社して数年後に他社への転職を考える可能性があります。せっかく育てた従業員を、他社へ流入させてしまうというのは、本当にもったいないことです。
    まずは、スタート時の給料が適正な金額であるか?そして、入社後の昇給システムは従業員が満足いくものか?それを踏まえて、できるだけ納得のいく給料水準や昇給制度を設定しましょう。

     

    社員のモチベーションを維持する

    優秀な社員ほど、成長したい!というモチベーションで仕事をしているので、会社で自分の成長が見込めないと、退職を考える傾向があります。
    労働条件が悪くないのに、社員が辞めてしまうという場合、彼らが仕事で成長を感じられない環境になっているのかもしれません。
    この会社でどれだけ頑張ったら、どれだけの成果を得られるか?その後、どんな仕事ができるのか?どんな役職につけるのか?といった指標を、社員に公開しましょう。
    例えば・・・
    ・社内表彰制度で、社員を評価する
    ・インセンティブ制度で、毎月の給料にプラスαで還元する
    ・キャリアアップ表(1年後、3年後、5年後、10年後にはこのポジションでこういう仕事ができる。ということが分かる具体的な表)

     

    まずは、取り組みやすいものからでいいので、社内制度として取り入れてみましょう。

    さいごに

    いかがでしょうか。今回は『社員の離職』をテーマにお話をさせていただきました!社員の離職防止策は、会社が成長するために、必要不可欠です。
    上記を参考に、社内の制度を変えたり、従業員の接し方を工夫したりと、離職防止になるような取り組みを行ってみてはいかがでしょうか。

     

    ※退職の抑止につながる記事↓こちらも参考にしてみてください。

    エンゲージメント・マネジメントとは何か解説

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