名古屋でITエンジニアを採用する

名古屋のシステム開発会社は必見、名古屋でITエンジニアの採用が難しい理由

なぜ名古屋ではITエンジニアを採用しにくいのか。

ITエンジニアの採用は簡単ではない。このことはITエンジニア採用を行なっている企業であればよくご存知だと思います。

・転職サイトに出しても期待通りの応募数が集まらない。

・人材紹介に依頼していても思うような紹介が得られない。

・ダイレクトリクルーティングを実施してもスカウトに反応してもらえない。など。

ご存知のように、経済産業省 によればIT 需要が今後拡大する一方で労働人口(特に若年人口)は減少が見込まれ、IT 人材の需要が供給を上回り、2030 年には、最大で約 79 万人不足になるだろうと試算されています。では名古屋(または愛知県全体)で考えたときに、今後どういった採用を行なっていけばいいのでしょうか。現在公表されているデータとともに考えてきたいと思います。

table of contents

目 次

    データで知る、名古屋でITエンジニアを採用する難しさ

    — 産業別人口:愛知県

    名古屋でITエンジニアが採用できない理由 産業別人口愛知

    まずはこちらをご覧ください。

    このデータは愛知県の県民生活部統計課が出している20229月データを元に作成しております。

    愛知県は全国でもTOPクラスのものづくりの街であるため、ものづくり従事者とIT従事者の人数差は大きく、かつ理系人材の多くはものづくりに流れています。また他業界と比べて女性の割合が少ないことも見受けられます。

    — 産業別人口:全国

    全国のものと比較してみます。全国的にみてもIT人材が不足していることは言うまでもありませんが、IT人材を必要とする求人は東京、大阪、愛知、神奈川などで特に多く、都心部ほど需要がありますが前述の通りものづくりをはじめとしたその他業界とITとのバランス(比率)は地方地方で異なります。

     

    こうした中、愛知県では機電系エンジニアとITのエンジニア比率はおおよそ1:9ほどです。この「1」の人材を競合他社と取り合うわけですから採用競争が激しくなるのも何ら不思議ではありません。

     

    大手転職サイトでスカウト検索を行なってみますと

    <検索条件>

    ・ITエンジニアとしての実務経験が約23年程度

    ・直近13ヶ月以内に転職サイトにログインしている人材

    ・居住地:愛知、岐阜、三重

    この条件で検索を行うと、時期により異なりますが大体250700名ほどがヒットします。このうち、実際に近々で転職活動を行なっている人材とそうではない潜在層とで別れ、さらに言うと、検索結果に表示された該当者の全てが、実際の選考対象者となり得るかといえばそうではないと思います。

     

    一方で、ITエンジニアを募集している求人数についてみてみましょう。

    — ITエンジニアの愛知県募集件数

    ITエンジニア募集 愛知県の件数

    この求人数は202212月初旬時点で各転職サイトに掲載されているITエンジニアの募集求人数です。(当社調べ)

     

    この掲載件数を見ると、各転職サイトでスカウト検索をかけてヒットしたITエンジニア経験者人数(250700人ほど)に対して、1社あたり1人程度しか人材がいないことになります。当然、求職者にとって転職サイトは求職活動を行う上での情報収集手段の一つに過ぎませんので、スカウト検索ヒット人数=市場にいるITエンジニアの最大数ということにはなりませんが、上記の数字を見ることで「難しい」ということはよくわかります。

    職種で知る、名古屋でITエンジニアを採用する難しさ

    — 業種、職種別の中部エリア有効求人倍率

    中部エリア有効求人倍率2022年9月

    2022年9月時点での中部エリア全体の有効求人倍率。(DODA調べ:発表データを元に作成しています。)

     

    業種別でみたIT・通信の倍率は5.70、職種別でみたITエンジニアの倍率は9.07となっています。1人に対し9社のバッティングが前提となっています。また上図では表記していませんが例えばゲーム系やAI開発などの募集にはエントリーが集まりやすい印象で、それに対し業務系などの募集ではエントリーが集まりづらく母集団形成に難航しています。つまり「愛知のIT全体が」というより「人気のある一局に」集まりやすい特徴があると感じています。

     

    人気のある一局に集まってしまう例
    また、少し例を挙げると…

    ・AI開発>業務系システム

    ・自社内開発>客先常駐

    ・リモート有り>出勤必須

    ・モダンな技術>レガシーな技術

    といったように、彼らは数多くある求人の中から選びたい放題できる状況にあるため、人材側のニーズと企業側のニーズがマッチしないこともエントリーを阻む大きな理由です。集まりやすいところでは何とか母集団を作れるが、集まりにくいところではより難かしい、ということになってしまっています。

    このように、仕事がある→人が不足している→募集をかけるが採用できない→生産できない。という図式が慢性的に組み上がっており、採用できないことが組織成長の足枷になってしまっているケースは多くみられます。

    ITエンジニアの採用活動で実際にあった失敗事例

    ここからは、名古屋に拠点を置くIT企業で、実際にあった採用活動の失敗事例を見ていきましょう。

    A社の失敗事例

    企業プロフ

    社員数:300名
    拠点:複数拠点有り
    業態:SES

    募集職種

    開発エンジニア

    勤務地

    名古屋市内/西三河

    採用状況について

    転職サイトへの露出をメインに採用活動。コロナ前は1掲載あたり13名程度の微経験者(経験12)を採用していたが、コロナ後に状況は変わり経験者採用(3年~)にシフト。

    結果について

    媒体の3チケットを計画的に消化。求職者がよく動くであろう2月、6月、9月に掲載を行ったが、採用はおろか応募数の獲得もできないことが続いた。

    結果は3チケット消化/応募総数34、有効応募12(有効率35%)、採用数0

    失敗要因について

    前提として、A社は転職サイトを中心にこれまで採用活動を実施してきているため、情報収集リテラシー等に変化が生じたコロナ禍〜後では、情報収集手段の1つに過ぎない転職サイトのみでは、発見~興味~関心(動機づけ)~検討というマーケティングに対する対策を行えなかったため(情報提供量、情報開示不足)、発見~離脱 or 応募という2パターンのみの流れになり、離脱の原因分析と仮説検証等の対策ができず、それ以上のPDCAを回せなかったことが母集団形成時の失敗と有効応募獲得数拡大の失敗につながっている。

    B社の失敗事例

    企業プロフ

    社員数:400名
    拠点:複数拠点有り
    業態:パッケージ開発

    募集職種

    開発エンジニア

    勤務地

    名古屋市

    採用状況について

    新卒を中心に採用活動を実施。中途は不定期で実施している。ダイレクトリクルーティングプラットフォームを利用して経験者(5年ほど)の1本釣り採用を行うために取り組んだ。

    結果について

    ダイレクトリクルーティングの運用途中からスカウト対象者が枯渇してしまい、利用期間6ヶ月のうち後半(3ヶ月)は何もアクションができないままになってしまい、選考すらも出来なくなってしまった。

    スカウト配信数300、返信25(返信率8.3)、選考5、採用0

    失敗要因について

    愛知県内のITエンジニア総数がそもそも少なく、自社に合うターゲットがいなかったのが理由だが、正確にはターゲットがいなかった→現場サイドから受けた要望(選考対象要件)が都度変動してターゲット条件がその都度ぶれており、現場に翻弄されてしまった結果、採用担当が動きにくくなってしまったことが原因として挙げられる。また。市況とかけ離れたターゲット条件の設定、選考フローの長さ、社内の情報共有の曖昧さなど、選考を行う上での事前準備から体制、フローなどがネックになり、母集団に対して有効的な選考を行うことができなかったため、失敗につながってしまっている。

    ITエンジニアの採用活動で実際にあった成功事例

    失敗してしまった事例を見ていただきましたが、当社でもいろんな企業で同様の事例を多く見てきました。とはいえこうした失敗が起きっている中でも着実に成功事例を積み上げている企業もありますのでご紹介します。

    C社の成功事例

    企業プロフ

    社員数:200名
    拠点:名古屋、大阪
    業態:パッケージ開発

    募集職種

    PM/PL
    SE/PG
    インフラエンジニア

    勤務地

    名古屋市/大阪市

    採用状況について

    通年で中途採用に力を入れている。ポジションも幅広く募集しているのだが、~30歳までを選考対象と考えていたため、媒体と人材紹介で採用活動を行なっていたが母集団形成に苦戦。そこでオウンドメディアとダイレクトリクルーティングの活用に注力した採用活動に切り替えて実施。

    結果について

    ダイレクトリクルーティング2つを半年ずつで分けてトータル1年運用。スカウトメール×オウンドメディアコンテンツでリクルーティングを行なった。

    配信700/年、返信132(返信18.8%)、面談69(面談率52%)、採用5

    成功要因について

    ダイレクトリクルーティングスカウトなので、いかに「スカウトでの反応を高められるか」という点にフォーカス。あらかじめ幅広く情報整備を行いコンテンツ化した上で、相手のプロフィールに応じてフックとなるコンテンツをスカウト内にリンクとともに記載し、サイト流入〜回遊してもらった上で関心を高めた状態で返信をしてもらえるように取り組んだ。「会ってみたい」「話を聞いてみたい」という動機づけに成功することで、選考フェーズに進める母集団を増やすことにつながり、採用成功に至った事例。

    D社の成功事例

    企業プロフ

    社員数:80名
    拠点:名古屋、東京
    業態:SES

    募集職種

    SE/PG

    勤務地

    名古屋市/自宅

    採用状況について

    ダイレクトリクルーティングと人材紹介を交互しながら採用活動を実施していたが効果が低迷してきたため、ダイレクトリクルーティング×オウンドメディアとフリーランスを起用を並行して採用活動を実施。また、セミナーなどの企画や自社イベントのナレッジ構築を行なった。

    結果について

    スカウト配信数300、返信51(返信率17)、面談38、採用1+フリーランス提携2

    セミナー集客9名、選考3、採用1

    またのちのちフリーランスからの紹介でリファラル採用1

    成功要因について

    多様な網をかけて採用活動のレパートリーを拡大し、他社が行なっていない取り組みに注力した結果、ダイレクトリクルーティングから派生したラインで追加2名の採用が決定した。(セミナーと紹介)いずれもダイレクトリクルーティングで初回接点を持ったところから始まったが、機会拡大のための多様なアクションや出口設計を行なったことが成功の要因になった。

    名古屋のITエンジニア採用における活路を見出す

    接点への対策

    多様化する初回接点ポイントのを理解し、エントリーへつなげる導線の設計やシナリオを描いてみましょう。

    どういう選択肢があり、何を活用してどのように成果に持っていくのかを、自社の状況に応じて考えていく必要があります。

    求人広告(転職サイト)

    リクナビネクスト、マイナビ転職、エン転職、DODAtypeなどの大手転職サイトです。接点の入り口としては有効であることに変わりはありません。その上で利点や不利点を把握し、出口を設計します。(媒体のみで応募までが完結しないケースも多々あるのでお忘れなく)

    未経験

    微経験

    人材エージェント

    人材紹介へのアンテナもしっかりと張っておく必要があります。紹介依頼先数社にコンタクトを取っておくようにしておいた方がいいです。担当者がこちらの要望を理解してくれているかどうかによって紹介精度が異なることを考慮する必要があります。

    微経験

    経験者

    ベテラン

    ダイレクトリクルーティング

    DODAリクルーターズやウォンテッドリー、Green、ビズリーチなどのプラットフォームについても転職サイトと同様に利点、不利点を把握し、自社に合うかどうかを事前に精査しておきましょう。

    微経験

    経験者

    SNS(ソーシャルメディア)

    ツイッター、インスタグラム、リンクトインなどのSNSが挙げられます。SNSユーザーへのダイレクトリクルーティングは転職サイトに登録していない潜在層との接点が得られやすいですが、同時に運用が大変なので安易に考えないように注意してください。

    微経験

    経験者

    ベテラン

    マッチングアプリ

    Yentaなどのビジネスマッチングアプリを用いてダイレクトリクルーティングを実施することもできます。SNSと同様に相手の利用目的は求職活動に限りませんので、それを踏まえて活用します。

    経験者

    ベテラン

    自社サイト広報(オウンドメディア)

    コーポレートサイト、採用サイト、ブログなどの情報発信を行います。現在の採用活動の多くは、〇〇×自社メディアといったように、自社所有のメディアを通じた広報はベースとなります。対策を取れていない場合は優先的に準備していきましょう。

    こちらでオウンドメディアの基本を全て解説

    未経験

    微経験

    経験者

    ベテラン

    リファラル採用

    社内への採用活動の協力依頼を行います。紹介キャンペーンの企画や制度設計などをして社内報します。リファラル促進には社員エンゲージメントが深く関わってきますので、このあたりの対策も行なっていかなくてはなりません。

    未経験

    微経験

    経験者

    ベテラン

    タレントプール

    TalentCloudなどのシステムやATSなど採用管理システムを活用してタレントプールのデータベースを構築。継続的なコミュニケーションを通じて形成した人材データベースの中から選考打診を行なっていきます。

    微経験

    経験者

    ベテラン

    転職イベント

    未経験、微経験を採用する場合にはイベントも選択肢としてちょうどいいです。マイナビ転職エキスポ、Re就活の転職博、名大社などは対面型で行なっていますが、DODAはコロナ以降はオンラインのみに切り替えました。

    未経験

    微経験

    ターゲットを明確にする

    こちらの記事、社内共通認識にする採用基準でも触れていますが特に採用担当側と現場側で食い違っているとうまくいかなくなってしまいますし、対象者をバイアスで見てしまい基準自体がブレてしまうなどしないように、ペルソナ設計を行なっております。

     

    賃金など条件や待遇面を見直す

    市況と比べてどうかを確認しておいてください。相場よりも著しく低い場合は修正した方がいいです。単価との兼ね合いなどあると思いますが、競合他社をリサーチしておくなどしてバッティングへの対策を行なっておく必要があります。

     

    選考内容を見直す

    選考に関わる期間や内容などを見直し、柔軟に対応できるように取り組みます。特にダイレクトリクルーティングなどではこの部分にレパートリーを持たせておくことをお勧めします。

    さいごに

    いかがでしたでしょうか。名古屋でITエンジニアを採用することが難しいと感じている採用担当者が多いなか、採用活動を諦めるわけにもいかず、どうにか採用に繋げることができないかを日々画策していることと思います。データや市況感を分析した上で、数限りあるエンジニアを自社へ引き込むにはどのような採用活動を行なったらいいかの参考にしていただけると嬉しいです。

    (ただいまページ準備中)