採用ブログ について。基本的なことから運用準備〜運用での要点などを1から100まで解説
採用ブログは採用のコンテンツマーケティング
最近の採用活動はオウンドメディアありきというリクルーティングが前提となっています。採用情報を主要コンテンツとした採用サイトをはじめ、学生や求職者の惹きつけや動機づけを行うための情報発信は、採用を成功させるために重要です。
本記事では【 採用ブログ 】の運用における基本を余すことなく記事にしています。オウンドメディアリクルーティングの中でも着手のハードルが低く、手軽にはじめやすい採用ブログですが、採用サイトと何が違うのか。運用するメリットは何か。ブログを始めるにはどうすればいいか。始めた後何をすべきなのかについてご紹介していきます。
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目 次
採用ブログとは何か
採用ブログとは、採用に関わる情報を発信するブログです。
採用サイトだけではなかなか伝えきれない自社の魅力を存分にPRでき、学生や求職者の「知りたい情報」や「興味を持てる情報」を記事として発信します。ほかの呼び方として、役割や目的に多少の違いはありますがHRブログ、人事ブログなどでも採用関連の記事を公開しています。(採用ブログと同義で運用している企業もあります。)
採用サイトとの違い
採用サイトとの違いはいくつかありますが、特筆したい点として、採用サイト内のコンテンツでは、
・採用メッセージ
・事業や仕事
・制度や環境
・メンバーインタビュー
・募集要項
といったコンテンツが並びます。いずれもサイトコンセプトやワードを設計し、ターゲットの定めて制作されているのですが、1つ1つの項目に対して超具体的なところまで説明してはいないです。むしろ抽象度を高めた表現をしています。一方で採用ブログでは、これら1つ1つのコンテンツにフォーカスして具体性を明らかにしたり、詳細部分を紹介するなどします。
つまり採用サイトと採用ブログでは役割や立ち位置が異なります。
採用ブログを発信する目的とは
採用ブログ発信の目的や担う役割は幅広いです。というのも学生や求職者は、企業情報や求人情報の発見をして興味を持ち、その企業のリサーチを重ねながら志望意欲を高め、エントリーを行い、選考プロセスを進み内定をもらうまでの一連の流れにおいて、自社の採用ブログに触れさせることで彼らに与える影響が多くあります。それらについてご紹介します。
認知を狙う
学生や求職者は企業リサーチをする中で、ありとあらゆる企業の情報に触れています。
また検索ワードや経路も様々で、次から次へと新しい企業の情報を読み込んでいますので、余程の志望意欲がない限り彼らの記憶に留めることは難しいです。
一方で採用ブログは認知に向いているといえます。他社との差別化情報を詳細に発信することができる採用ブログでは、ありふれた抽象的な情報ではなく自社独自の具体的な情報を伝えることができるからです。具体的であれば具体的であるほど、他社の発信する情報とは違いが生まれるため、しっかりと印象に残しやすいです。
動機づけを狙う
採用活動に関わる情報(パーパスやカルチャー)も含めて自社の言葉や表現でメッセージの発信をすることができるため、価値観への共感、人への共感、環境への共感などを生みやすく、応募の動機づけを狙うことができます。また、志望意欲の高い候補者ほど自社への理解がより深まり、入社前エンゲージメントを高めることができます。
社員エンゲージメントの向上
学生や求職者に向けた採用ブログは外部に向けた発信ですが、実は社内にも効果や影響があります。
採用ブログの運用には社内の協力が必要ですので、必然的に採用ブログ運用に関わる人間を中心に社内認知が深まります。社員がブログを読んでくれることで改めて会社の考えについて触れることができたり、同僚や先輩、上司などや他部署の日頃関わりのないメンバーのインタビュー等に触れることで帰属意識が高まります。(社内報のような意味合いを持たせて運用する企業もあります。)
採用ブログのメリット、デメリット
採用ブログの運用には多くのメリットがあります。一方で運用体制や環境次第ではデメリットと感じる部分もありますので、それぞれご紹介していきます。
採用ブログのメリット
1:ブランディング
採用ブログは自社のパーパスに関わる発信から企業カルチャーを色濃く映し出した記事の発信によって「自社らしさ」をしっかりと投影できるコンテンツです。
2:自社説明書となる
自社説明書というとやや大袈裟かもしれませんが、それほどまでにそれぞれのテーマで具体的な話題を発信することで、自社に対する理解の深まりが加速します。「自社を知ってもらいたい」「自社の良さを感じ取ってもらいたい」といった思いを表現することができます。
3:歩留り改善につながる
候補者のうち、選考テーブルに残る人たちの質が改善されるため、ドタキャンやブッチを含む辞退率の低減につながり、歩留り率が改善されやすくなります。
4:入社後ミスマッチの抑制
ブログを通して自社のあらゆる話題を包括的に収集でき、エンゲージメントが高まることで入社後に発生する認識相違の抑制につながります。また、ブログコンテンツが面接選考時の話題にあがることも多くなり候補者からの質問内容もより具体的化したりします。
採用ブログのデメリット
1:更新の手間がかかる
記事の作成作業は大変です。ブログを1本書くにしても結構な時間がかかりますし、テキストのみならず画像や資料などの用意もしなくてはなりません。定期的に更新を行っていく上では、更新スケジュールを管理しながら運用していくことが望ましいです。
2:記事のネタがなくなる
更新を続けていくうちにどんな記事を書いたらいいのかわからなくなり、更新するネタがなくなってしまうなどの落とし穴が存在します。ネタがなくなると更新頻度も鈍り、次第に作業から遠のくようになり更新が滞ってきたりします。
3:すぐに結果が出ない
ブログを数記事書いただけではほとんど変化は起きません。母集団形成に有利になったり、オーガニック検索でブログに流入してきてくれる人たちも急速に増えたりはしません。品質の高い優良な記事を地道に更新していかなくてはならないことを念頭において更新していく必要があります。
4:社内への協力要請が必須
採用ブログは記事を書くにあたり、社内全域にまたがる必要があったり、各部署、各ポジションの人たちが関係する話が多いため、必然的に社内メンバーに協力を仰ぐ必要があります。そうした調整をつけたり、理解を得るためのやり取りが意外と大変だったりします。
採用ブログを始めるには
採用ブログを始めるには、まず自社の方向性や運用中のオウンドメディアの状況を確認したうえで、自社に合った方法を選択するのがおすすめです。では、どのような選択肢があるのか見ていきましょう。
採用ブログの更新フローを知る
ブログの更新と一口に言ってもやることは意外とあります。まずは候補企画の立案を行い、関係者とのスケジュールの調整や内容の共有をし、話の構成を組み立てます。そして記事作成に必要な情報(取材、写真、資料、データやアンケート、その他必要なもの)を集めます。情報を集めたらライティングして原稿を作っていきます。また、サムネイル等の画像デザインも行ったり写真のリサイズをするなど、読み手が興味を持ってクリックしやすいようにする工夫も必要です。
原稿ができたら実際にアップロードを行い、サイト上で公開します。細かいことを言えばSEO対策や導線設計などまだまだやることはありますが更新までのスタンダードなフローはこういった形です。
自社の運用リソースを確認する
運用に際して、誰がどのように携われるのかを確認します。1人で行うのか、チームで行うのか、チームの場合は誰がどんな役割で動くのかをチェックしておくとスムーズです。
どこで運用するのかを決める
ブログの運用といっても様々です。本記事では前提としてオウンドメディア(自社の所有するもの)での運用をお勧めしていますが、必ずしもオウンドメディアでなければならないわけでもありませんので、他の選択肢も含めてご紹介していきます。
1:アメブロ、はてなブログ
ほとんどのかたがご存知かと思いますが、アメブロやはてなブログなどを使ったブログ構築です。無料で気軽にはじめられるのでハードルが低く、記事を書くだけならさほど難しいことはありません。
2:NOTE
更新等についてはアメブロ等と同様に簡単です。SNSなどとの親和性も高くて使い勝手も良いためおすすめです。無料で始められる個人アカウントのほかに法人アカウントとして運用する有料プランも存在しています。
3:自社サイト内
企業サイトや採用サイトなどのブログ機能を使用して記事を作成~更新していきます。上記外部サービスと比較すると操作や更新性において多少難易度があがる印象ですが、オウンドメディア内のコンテンツになりますので採用活動においてはやらない手はありません。ですがサイトが古い、サイトの採用情報が弱い、ブログ機能が弱い、ブログへの導線が作りにくいなど、サイトの現状次第では既存環境で運用を開始せずにサイトリニューアルを検討してみることもおすすめです。
4:自社ブログサイト
採用ブログサイトを新設して運用していきます。自由度は最も高くて自社らしさを1番発揮できるのが特徴です。採用ブログのコンテンツを選考プロセスに組み込んでアナウンスを行ったりする活用方法においても、1番使い勝手がいいといえるでしょう。ただし企業サイトや採用サイトとの導線調整は必要です。
記事を企画する
「記事を企画することがネックだ」という声をよく耳にします。どんな記事を作ったらいいかわからない。記事のネタが思いつかない。すぐにネタ切れになってしまった。など、採用ブログを継続することが困難だという話です。たしかに企画し続けるということは簡単ではないですし、計画的に運用していかないといつしか放置が続いてしまい、ほとんど更新しなくなってしまうこともあります。
ではどのような工夫をすれば、こうしたことが起こさずに運用をしていけるかですが、記事を作っていく前にきちんとカテゴリーを分類し、候補のネタのイシューを抑えることです。
例えば①大きいワードやテーマ→②大きいワードやテーマを支える各項目→③各論点を支える詳細項目といったように、(例)カテゴリーAに属する1つの題材に対して、上記のようなさらなる分類と各項目のさらなる分解をおこなうことで、ネタを抽出していくことができます。
ITエンジニア採用に向けた 採用ブログの更新例を具体的に書いている記事もありますので、ぜひ併せてお読みください。
採用ブログの運用で気をつけること
実際に採用ブログの運用をスタートするにあたり、あらかじめ知っておくべき注意点があります。注意点への対策を行なっていくのと、対策せずに運用していくのとでは、読み手である学生や求職者に与える印象が大きく変わってくる可能性もあります。どこまで対策をするかは別として、対策の必要があるという認識を持っておいていただけるといいと思います。
読者が興味のある記事を作る
採用ブログというからには、やはり会社のことや環境のこと、事業のことや働く人のことなどを中心とした情報が読みたいので、それらのテーマから逸脱した記事は書く必要がありません。読者が興味のある記事といっても、いったいどんな記事が良いのかわからないという方は、面接の際によく聞かれる質問項目について記事にしたり、一問一答記事などを用意するといいでしょう。
読みやすい記事を作る
書き上がった原稿をご自身で読み返したり社内メンバー数人に読んでもらい、フィードバックを得るようにしてください。改行がない、話が飛んでしまっている、話の順序がおかしいなど読み手側の立場で感じたことを言ってもらい、読みやすい記事に修正します。
また、それでも注意すべき点として、記事内に専門用語や業界用語などが頻発している場合、社内の人間は違和感なく読めても学生や求職者は「???」となってしまうこともありますので、読んでもらいたいターゲットにあわせた用語使いや言い回し方をするなどの配慮が必要です。
画像やイラスト、資料などを使って作る
ひたすらテキストのみが続く記事が悪いとは言いませんが、スムーズに要点を伝えるために画像やイラスト、資料などのイメージを併用した記事にすることで、読み進める上でのストレスを抑え、読了してもらいやすくなります。手間ではありますが、読者の目線に立った記事づくりをしていくことが大切です。
出口の設計をする
記事を読んでくれた人に「何をしてもらいたいのか」を考えて記事の構成を行います。たとえば関連する記事を読んでもらいたい、説明会に参加してもらいたい、正式にエントリーをしてもらいたいといった出口を定めて記事を作ります。ブログを読んだあと、次にどこに行けば良いのかわからなくなってしまわないように配慮する必要があります。
記事の解析を行う
Googleアナリティクスなどで解析を行います。もちろん難しいことを必要とするわけではありません。どの記事が何PVだった。この経路でこの記事に訪れたなどのデータ把握だけでも構いませんので、来訪した人がどんな記事に関心を持っているのか知ることによって「このカテゴリーにボリュームを持たせた方がいい」「この導線をもっと改善しよう」といった気づきにつながりますので、きちんとデータに向き合うようにしていってください。
採用ブログの運用事例
採用ブログの運用にあたって、これまでブログをあまり積極的に行なってこなかった、行なったが続かずに挫折した、専任がいないためそもそも無理。と多くの企業で運用できるかどうか不安の声を聞きます。ですが現状のままでは採用活動に変化を起こすことができない(思い当たる手は尽くした等)と感じているため、当社の採用ブログ運用、コンテンツマーケティングを通して運用を行なったお客様の声を一部ご紹介します。
IT業界/中小規模
・明らかに候補者の質が高まったと実感しました。ブログ記事は全部読み漁りました!と社員顔負けのエンゲージメント醸成に成功できたと感じています。
IT業界/中堅規模
・求人サイトやスカウトサービスにガッツリと絡めていくことで母集団形成プロセスの改善につながり、母集団の拡大ができた(前年対比:122%)。また候補者の志望意欲度をスクリーニングしやすいです。
自動車業界/中小規模
・他社との違いを明確に伝えることができるので、検索を通してエンジニアからのサイト直エントリーや質問件数が増えました。(昨年0件:今年7件)
サービス業界/中小規模
・ミスマッチによる早期離職に悩んでいたため、理解の相違が発生しにくくなるように工夫することで定着率が改善傾向にある気がします。改善すれば求人サイト等への予算を削減できるので期待したいです。
メーカー/中堅規模
・企画から構成、アップまですべて丸投げでやってくれてるので大変助かってます。コンテンツづくりもですが記事を選考プロセス内でどのように有効活用すればいいか等のアドバイスやコンサルもしてくれるのでコア業務に集中できる点も満足しています。
さいごに
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